現場で会おうZ!!!!!

たまいびびが「現場」に辿り着くまでの長くて短いおはなし。 週末更新おたのしみに!

第4話「Happiness's Base To "Eat"(幸せのベースは"食べる"こと)」

◆これまでの『現場で会おうZ!!!!!」は……

 若くして正体不明の「死」を繰り返す病を患った「たまいびび」という一人の青年。

 病に倒れ、未来の見えない日々に苦悶する中、彼は、MCZ(ももいろクローバーZ・ももクロ)、そしてMNNF(モノノフ)と出会い、人生が一変する。

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 彼は「現場(ももクロのライブ)」を目標に Project vivi#pjvivi)を立ち上げ、実行に移る。

 しかし、早々にその夢は達成してしまう!?

 彼の力になろうと尽力するモノノフは確実に存在することを知った「たまいびび」。

 心身ともに現場に現れる日はいつになるのか……。

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 ある朝、

 グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、

 自分が寝床の中で一匹の巨大な虫になっているのを発見した。

 

 

 これは

 かの有名な作家

 フランツ・カフカの『変身』の第一文にあたるものである。

 

 彼はたびたびこの一文を思い出しては

 己の手が複数の足に変化していたり

 歯がなくなる代わりに頑丈な顎が備わっていたり

 口から不自然で不気味な分泌物を吐き出したり

 背に硬い甲羅や羽がありはしないかと

 寝起きをするたび

 不安になるのである。

 

 これは

 よもや

 彼にとって

 肉体的な「死」を想像するよりも

 はるかに

 酷なことなのかもしれない。

 

 しかし

 あらゆる夜を越えていけども

 彼の小さくてか細い指は5本揃っており

 生え揃えられた歯はいつも頑丈で

 呼吸に合わせて

 柔らかに腹部が上下することを確認すること

 そして

 胎児のうちに聞き覚えのあるかのような

 ゆったりとしたリズムの

 心音で目を覚まし

 彼は

 今日も

 己が

 ”毒虫”

 と化すことがなかったことに安堵する。

 

 それがまた

 彼にとって幸せなことかどうかは

 はたして

 わからないが

 朝を迎えるたび

 己が己であることに

 多少は

 慣れてきたようにもみえる。

 

 

 2017年8月

 

 たまいびびは珍しくカレンダーを見つめ

「火」

 を意味する曜日に

 すべて赤いマーカーで丸印をつけた。

 

 

 これらを行うことで

 何がわかるのか

 解決策が見いだせるのかどうかは

 彼の主治医であっても首をかしげるところであるが

 彼は

 このじめりとした

 重々しい梅雨の時期のような

 異常めいた夏に

 1ヶ月間をかけて

 己の病の真相を解き明かすためか

 精神的安定を図るためか

 目的すら

「あやふや」

 なまま

 大掛かりな

 検査を

 していくことを決意した。

 

「あやふや」

 であることは

 この病について

 医師にも

 たまいびび自身にも

 わからないことが多すぎるため

 致し方ない

 ことである。

 

 だからこそ

 その

「あやふや」

 を

 たまいびびというよりも

 医師の方が

 早々に

 取り除きたいがための

 検査だったのかもしれない。

 

 もちろん

 リスクもあり

 侵襲性の高い検査も多い。

 

 彼はかなりの時間

 この実験的な行為への参加に

 頭を悩まされて来た。

 

 強制毎ではない。

 これらを

 やってのけるか

 はたまた

 避けて通るかは

 誠に

 己の意志であることに間違いはなかった。

 

 しかしある

 くたびれた

 昼下がりのもと

 焚きつけられたかのように

 ある挑戦状が届いた。

 

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 もはや世間のことですら

 追いかけることを呆れめてしまった

 たまいびび

(あらゆる感覚が敏感で鋭敏になってしまった彼にとって、世間や社会を憂うということは、自身を客観視し、律するという仕事から大きく踏み外してしまうことを危惧していたのだ)

 日本で何が起こっているのかも

 ほとんどわからない。

 

 世間のペースを把握できてくると

 世間のペースで歩もうとする自分が現れる。

 それによって

 己の歩調が危ぶまれ

 ときおり

 大きく異常な行動に出てしまい

 混乱

 疲弊し

 自身の体力と思考能力を

 最大限に削りとられる

 ことを学習していた彼は

 しばらく世間や社会というものから

 一線を引こうと

 己の範囲だけで

 行動することを心がけていた。

 

 だからこそ

 検査に対する

 異常なまでの

 嫌悪感

 が彼の中で生まれたのかも

 しれない。

 

 己自身を知ることが

 彼にとって

 まだ

 恐ろしいことであることは

 隠せぬ

 事実であった。

 

 しかし

 彼が今

 いわゆる

「普通」

 な生活を送っていくためには

 余計な情報や刺激は

 まさに

 毒虫の口から溢れる

 謎の分泌物に等しい。

 

 彼は

 毒虫を排除する

 気力や勇気すら

 持ち合わせていない

 非力な

 人間なのである。

 

 そんなとき

 1枚の音楽ディスクとの出会いがあった。

 

 この

「BLAST!」

 というEPは

 全体を通して

 彼の心境を

 あらゆる面で

 覆し

 弱毒虫

 である自分へ向けられたメッセージソングのようにも思えたのである。

 

 堂々たる立ち振る舞いをみせる

 MCZ(ももいろクローバーZ)

 に

 ウォーミングアップ中の有安杏果

 たまいびびを挑発し

 

「おいそれ貴様。そんな程度か」

 

 と

 

 BLAST!

 BLAST!

 BLAST!

 BLAST!

 

 してくる。

 

 一通りの曲を聴き終わり

 

「なるほどそうか」

 

 とつぶやいた彼は

 厚手の黄色いヨガマットを

 その狭い部屋に敷きつめ

 おもむろに

 ストレッチを始めた。

 

 

 

 そうして日々は過ぎていき

 検査を週に1度(それは火曜日のことであった)

 受けながらも

 

 自身の体力向上

 身体コントロール

 精神安定

 

 といった

 

「いかにも」

 

 な

 ねらいを持ちながら

 たまいびびは

 自主的リハビリテーションを

 ほぼ毎日行ったのである。

 

 そして

 8月最終週である29日(火)に

 彼はすべての検査日程を終了した。

 

 結果はもちろん

 よしわるしで

 医学的な検査をしたからといって

 何がどうなのか

 これからどうしていけばいいのか

 彼の未来は明るいのか

 そのようなことは

 いかんせん

 わかるようなものではない。

 

 そのような

 漠然とした未来がわからないのは

 彼に限ってのことではないだろう。

 

 例えるなら

 この検査

 先行き見えぬ恋路に

 不安を抱く乙女が

 いかにも不気味で破廉恥な

 占い師にすがるように

 金を払って

 安心感を得ようとする

 行為に

 似している。

 

 そして

 検査の結果によっては

 新しい病名がつく可能性だってある。

 これは

 忌まわしく厄介なものであり

 これらが一つ増えることによって

 彼の精神的負担はまた一つ増えるようにも思われた。

 

 

 しかし

 今回の

 たまいびびは

 少しばかり

 思考のめぐりが良いようだ。

 

 そのような

 医学的な病名を徐々に増やされていき

 憂いを募らせることが

 いかに

 小さく無駄であることを

 彼自身は

 これまでの経験から

 よく理解していた。

 

 

 否

 この1ヶ月の間で

 思い知らされたのである。

 

 

 それは

 おそらく

 今回の挑戦状

 MCZの「BLAST!」の影響が大きい。

 

『Yum-Yum!』という曲が1曲目に入っていて。

 まぁそれはそれは幼稚な歌だと思いましたよ。

 お遊びで作ったような曲で、最初は全然響いてこなかった。

 だから表題曲の『BLAST!』ばかり聴いていたんです。

 やっぱり格好がいいですし、テンポも良くて気持ちが上がりますから。

 それでもこの1ヶ月を乗り切る中で

『Yum-Yum!』の影響は大きく受けていると思います。

 ”食べる”ということへの意識改革が驚くほど上手くできたんです」

 

 

『Yum-Yum!』「食べる」ことをテーマにした楽曲であり

 バックはピアノの伴奏だけというシンプルさ

 歌詞も幼稚で

 語り口調のようなリズムも多く

 MCZたちの楽屋でのダダ喋りのようなものが曲中に収録されていたりと

 なかなか音楽としては

 おふざけ感のある楽曲で

 つまらないように思われた。

 

 

 だが

 しかし

 よくよく聴き込んでゆくと

 この楽曲は

 MCZでなければ歌えない

 MCZでなければ届かない

 ものであると彼は思うようになる。

 

 

 例えば

 スタイル抜群の美人シンガーソングライターや

 名実・実力ともにナンバーワンのジャズシンガーが

 この曲をカバーしたとしても

『Yum-Yum!』の表すメッセージは

 きっと伝ってこないものと

 彼は考えるのである。

 

 

 というのは

 MCZの面々は

 非常によく食べる。

 

 とくに

 佐々木彩夏

 玉井詩織

 に関しては

 その見事な食べっぷりに

 賞賛の拍手

 多額のチップを送りたくなるほど

 よもや

 その姿は

 花鳥風月

 とも称すべきか

 彼女たちのまさに

「Yum-Yum!(おいしい!)」

 表情および言動は

『Yum-Yum』のシンプルな歌詞に

 より説得力が生まれる。

 

 

 たまいびびは

 生まれてこのかた

 「食」に関して喜びを見出してこなかった人間であり

 

 栄養を流し込めさえすれば良い

 

 といった

 体たらくで

 無頓着な

 不幸者

 であった。

 

 もちろん

 彼のいう「死」(けいれん発作によるショック)が

 身体に襲いかかってきた際は

 床に伏せるしか術はなく

 数日間

 食物を体内に摂取することさえ

 困難な状況は

 何度も経験してきた。

 

 しかし

 この1曲で

 彼の「食」への意識は確実に変わった。

 

「リハビリをして元気になっていくというよりも、

 リハビリをするためにはまずエネルギーが必要だと思いました。

 リハビリや検査に限らず、何かをしようかと考えたら、

 まず食べることから始めないといけないと認識させられましたね。

 まぁ、

 ポテトチップスを毎日食べるわけにはいきませんが 

 それでも食事は楽しい・美味しいというイメージがつくように

 工夫はしました。

 眠ること・休むことも私の一つの課題ではありますが、

 それよりも

 最低限

『食べること』

 を楽しめる

 そういう人間になりつつあるということは

 きっと

 幸せなことだと

 思っています」

 

 

 

 食べることが

 彼の病に

 直接働きかけることはないかもしれない。

 

 しかし

 

 病気に立ち向かっていくこと

 一人で、そして仲間と一緒に歩いていくこと

 現場でMNNF(モノノフ)と会おうとすること

 

 そうした目標に

 間接的に影響することを

 彼は

 この

「Yum-Yum!」

 という楽曲で学び

 実行したというわけである。

 

 

「そういえばこんなお話も聞きました。

 佐々木彩夏さんのお家の食卓にはテレビがないのだとか。

 今時珍しいなぁと思うと同時に、羨ましいなぁと思う自分がいましたね。

 佐々木さんが誰よりも美味しそうにご飯を食べておられる姿を誰もが許容し、想像できるのは、そのような環境もあるのではないでしょうか。

 私は病気をしてから、様々な感覚が過敏で仕方がないのです。

 ですから、食事の最中に『視覚』や『聴覚』がテレビに奪われてしまうことは、非常にもったいないことだと思っています。

 本来の「味」や「におい」といった食事の楽しみを、味わうことができていないことになります。

 私は家族とともに生活をさせてもらっているので、残念ながら、食事中にテレビを見たがる者もおり、テレビを食卓から撤去させることは困難です。

 ですから、私一人での食事のときは、テレビや音楽などは一切遮断し、味や匂いや音までも楽しむようにしていますよ。

 特に感覚が異常なほどに研ぎ澄まされている場合は、家族との食事も回避して、なるべく刺激の少ない状態で食べることを心がけました。

 もちろん、皆で食べる食事ほど理想的で素敵なことはありませんが、今の刺激の入りやすい私にとっては、その食事という生活の一場面がストレスにならないように、とにもかくにも「ご飯が食べたい」「ご飯はおいしい」という気持ちになるように自分の行動を制限したり緩和させたりしています。

 

 食事に集中できる環境におられる佐々木さん、たしかお母様がそのような意向を持っておられるとお聞きしました。

 素敵なお母様ですね。

 このような「食べる」というあまりにもあたりまえでおろそかにしがちなことも、環境一つで素晴らしい生活の習慣になりうることを、彼女、いや、彼女の家族から学びました。

 

 様々な

 答えが出るのはまだまだ先でしょうが、

 自分自身がまず美味しく食べること

 そして

 他人から見ても美味しそうに見えること

 は

 幸せのベース

 になるんじゃないでしょうか。

 

 食事は栄養を飲み込むものではありません

 幸せのストレッチのようなものなのかもしれませんね」

 

 

 

 たまいびびは

 今日も

 自らの

 エネルギーになってくれる

 食材に感謝しながら

 それを美味しく頂く。

 

 どんなに余裕がなくとも

 いい加減な食事をしない

 

 幸せの

 ベースは

 食べること

 

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 そんなことを考えながら

 たまいびびは

 明日も現場に向かって邁進する……

 

#現場で会おうZ #pjvivi #roadtogenba #たまいびび